アメリカ 写し絵公演

2008年7月 アメリカ各地
招請 ■ アメリカ・カナダ・マジックランタン協会

ハリウッド 映画芸術と科学アカデミー
ボストン・ボストン美術館
ニューヨーク・映画とビデオ協会
ワシントン・スミソニアン国立博物館
コーディネーター ■ アルテミス ウィリス(映画監督・プロデューサー)
チラシデザイン ■ ニューヨーク リンカーンセンター

公演の趣旨

 
ボストン美術館
光学映像文化は、それを誕生させた西欧でしか発展させ得ない文化としてこれまで理解されていた。幻灯機は、圧延や旋盤などの高度な金属加工技術によって製造されるものであり、その生産加工技術を持たない非西欧圏においては、それを受容しても、それを発展させる基礎的技術がないから、と理解されていた。
 ところが日本に「写し絵」という芸能があり、それは幻灯器を木製で製作するという、西欧では考えがたい発想による器材製作によって誕生したものとの情報が、近年、西欧に広がっていた。それを映像研究者が確認したいという目的に於いて、今回の招請となった。

出演

語り ■ 山崎之也
新内節 ■ 新内剛士
写し絵師 ■ 平成玉川文楽
写し絵操演 ■ 劇団みんわ座(山形文雄 田中佑子 品田篤志 中尾太一)  

演目

  • ハリウッド4
    「勧進帳」
  • 「あたま山」
  • 「だるま夜話」
  • 「三番叟」

スケジュール

  • 7月2日 ハリウッド・映画芸術科学アカデミー・リンウッド劇場
  • 7月6日 ボストン・ボストン美術館
  • 7月8日 ニューヨーク・リンカーンセンター
  • 7月10日 ワシントンD.C.・国立スミソニアン博物館

アメリカ公演に至るまで

 米国公演の企画は、アメリカ・カナダマジックランタン協会からの招聘が発端となった。それは、会長である「トム ロール」氏が、2001年英国マジックランタン協会総会で劇団みんわ座の江戸 写し絵を観、将来アメリカへ招待したいという希望が、今年度の総会に向けて招請となった。そしてエルキ・フータモ教授が、アメリカの映画産業に圧倒的影響力をもつ「映画芸術と科学アカデミー」に企画を打診、今回の上演に繋がった。

反響

 
ハリウッド2
7月2日夜初日。切符は完売と聞いていた。すこし空席があったが、それはすぐ後の日に独立記念日の祝日を控え、切符を買ったが、旅行に出た人もあるためらしい。
 劇場側からの公演趣旨や説明があり、草原さんや今回のコーディネータ役を務めたアルテミスさんの挨拶があって、アメリカ初演となった。「三番叟」の鼻が伸びたり烏帽子が飛んだりする仕草に、客はよく反応した。客席から舞台裏へ響いてくる笑いや反応の様は、池袋の東京芸術劇場よりもずっと多く、客に受けている雰囲気が伝わってくる。
 「だるま夜話」草原真知子さんの写し絵の解説。みんわ座の劇団員が客席に出、隅田川の花火の打ち上げや幽霊、ガブなどを披露して、映像処理の具体的な様を演じる。
「あたま山」、休憩、「勧進帳」、終演。心弛よい終演の拍手が、挨拶に出た我々を迎えてくれた。終演後、舞台裏に客が群がった。

 彼らは写し絵に先行した「マジックランタン」を知っている。その比較の目で写し絵の技法を観たとき、明らかに発想の違いが生んだ技法に興味を持ち、種板を見に舞台裏に集まった。みんわ座が、というよりも、200年も前の日本の芸能が評価されているという雰囲気がそこにあった。現地に住んでいる日本人の顔もある。「次は日本人会で人を集めますよ」と語る彼ら、彼女らも、初めて観る日本の伝統芸能を喜んでくれた。舞台裏へ最初にきた、映画撮影会社の「ローリン・ヘアー」さんも、「大成功です。おめでとうございます」と握手を求めてきた。

 個々差異はあるにしても、この舞台裏の騒ぎは最後のワシントンD.C.、「スミソニアン博物館」で最大の盛りあがりとなった。

謝辞

 今回の米国公演は、渡米した文化が、享受した文化に触れた時、渡米したものより飛躍的に発展させ得た好例として、米国の研究者から賞賛されました。江戸の文化がまた評価された瞬間でもありました。
 今回、米国に行くにあたり、多くの皆様方からご支援を頂きました。自分たちの努力もさりながら、その応援があって成しえた事を報告し、感謝を申し上げる次第です。
 ありがとうございました。