雨月物語

雨月物語

雨月物語・浅茅が宿より
原作 ■ 上田秋成
脚色 ■ 山形文雄
演出 ■ 古矢直義
美術 ■ 片岡昌
音楽 ■ 小山田暁
音響 ■ 伊藤玩明
語り ■ 高橋博

上演時間 ■ 35分

 下総に住む勝四郎は、絹の商いに、妻を残して都に上っていった。時は戦国の荒れた時代で、せっかく絹を売って儲けた大金も追い剥ぎに盗られてしまい、あまつさえ、下総は戦乱で無人の地となったと聞いて、勝四郎は都に留まってしまったのだった。やがて都も戦乱の巷となって、勝四郎は古里へ帰ってくると、家の明かりが見えるではないか。
 時代を超える永遠の古典、上田秋成の名作。

古典に親しむ

 いま、美しい日本語を読み、朗読するのが流行しています。
 「雨月物語」は230年ほど昔に書かれた作品ですが、洗練された美しい文章と神秘的な物語で、古典のなかでも抜きんでて多くの人たちに読み継がれています。
 そのなから取り上げたのは「浅茅が宿」で、美しい日本語、優れた語り手、心を打つ哀切な物語に留意し、影絵芝居ならではの幻想的な劇に創りあげました。

物語の背景

 秋成は亨保十九年(1734)大阪に生まれ、小説家、歌人、国学者として活躍し、時には医者としても務め、文化六年京都で没しました。
 田沼時代、経済の繁栄で大阪では町人文化が発展し、その気風のなかで中国の文化や、南蛮文化がもてはやされました。
 雨月物語はこうした時代風潮の中で描かれました。この小説は、中国の怪奇小説「剪燈新話」や「今昔物語」の影響を受けて成り立った物語ですが、原典が持つ怪奇性に留まらず、人間の性を深く見つめる近代性を見ることができます。
 戦乱がもたらす悲劇を語らずに、より深く心情に訴えてくるこの物語は、怪奇と幻想と清冽な愛で、永遠の名作になっています。